こんにちは 傷のない空に、一筋の飛行機雲。あまりにも遠すぎるので、飛行機は山の向こうに落ちて行きました。すると、雲が山にかかって、山が、雲を吐き出しているように見えました。 見る見る輪郭はぼやけて、空に滲んでいきます。消えてしまう前に、あの端をつまんで、手繰り寄せ、細い糸にしましょうか。それで、ケープを編みましょう。肩に羽織れば、白い翼になって、体ごと、フワリと舞い上がるのではないかしら・・・と、半分眠いような、気だるいような暖かい昼日中です。 気持ちをしゃんとさせるには、庭に出て、本当の冷たい空気を吸うのが一番。 モミの木の横にかがんで、庭を低い位置から眺めます。なんと、外のほうが暖かいくらい。日向にいると、好きな人と背中合わせに座っているような、優しい暖かさです。 目は春を探しています。でももう、面白いほど簡単に見つけられます。腐葉土になりかけた、枯葉の覆う土から見える緑色は、そのほとんどが、球根の芽か多年草の芽です。ちっとも雑草が見えないので、昨年までの優秀な通知表を見るようで、嬉しくなります。単純ですね。しばらくしたら、ワッと要らぬ緑が増えるのかもしれませんが、取りあえず、今のところは、ご機嫌でいましょう。 黒百合の固い芽は、なかなか伸びません。鉢ごと地面に埋めてあります。日当たりの良い場所に移動したいような気もしますが、もう少し、辛抱しようかな。「せっかく出た芽、気長に見守りなさい。」誰かの声が聞こえたような。 去年初めて植えた山百合の芽はフキノトウそっくりです。慌てものの鳥が、突付かないか心配になります。この、ひわ色は初々しい春の庭にふさわしい乙女の帯揚げ、でも庭という着物地が、まだまだ地味なのが残念です。 ゲンノショウコそっくりなのは、いたずらなトリカブト。(写真左、茶色いのが若芽です。)美味しそうに光っています。うっかり口にしたら大変。行者ニンニクも芽を出しましたが、なんとなく不安な山菜探しは止めたほうが良さそうです。 そんなことより、種まきしなくちゃ! 4月2日 淳子 |