こんにちは。 もう5月も終わりですね。暦の5月は。でも私の5月は始まったばかり、まだずっと続きます。負け惜しみでなく、本当にそう感じる今年です。春が遅かったから?いつまでも涼しいから?いえ、きっと何本かの庭のバラのせいでしょう。 フウロソウが咲き、チャイブが咲き、宿根アマが、ネメシアが、セラスチュームが、ゴールドコインが、アッツザクラが、オーブリエチアが、オダマキが、ツボサンゴが・・・。狭い庭は、小さな花たちのお喋りと笑い声に溢れます。私も仲間外れにされないように、目まぐるしくあっちへ行ったり、こっちへ来たり。 こんな賑やかな庭が、おすましするのは、庭に家族以外の足音が聞こえた時です。はじめて庭に訪れた人が、何に溜め息をつくか、どの花に注目するか、植物もこちらを、うかがいます。 昨日、年配の男性は、この庭で、咲き始めのフウロソウを見て、「これはゲンノショウコ?」と。私が説明すると、笑って、「ああ園芸種、どうりで。」 濃いピンクの花をびっしりつけた花茎が「いやね、よく御覧なさい。」と揺れます。(右写真) 「これは?なんて言うの?」「ルピナスです。」「ハイカラな名前だねぇ。」「ノボリフジ、とも言いますけど。」「・・・藤?種類は全然違いますね、花が似てるって事か。」 やりとりを聞いていたルピナスは「あっちがこっちに似てるのよ。」・・・・怒ってる怒ってる。 「ヤマブキですね。珍しい、白い花だ。」葉を見てヤマブキと言い当てたのは合格。でも白が珍しいとは、イングリッシュガーデンには・・・不可。 「これは、コウソウだね。」コウソウ?後奏・・と変換しかけ、慌てて香草に。「セージです。」ハーブコーナーから立ちのぼる香りに、意識下にこだましていた響きが、ようやくかき消された。シューマンの『君は花のように』、練習はあの曲が最後でした。美しい後奏が難しくて。 翌朝、ひとりで庭に出て、小さく一節口ずさみました。すると、バラの蕾が言います、さあ、次の曲を。 『美しい五月に』の前奏を。 5月30日 淳子 |