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 こんにちは。

 朝、雨が降っているその事より、雨で外が暗いのが嫌でした。5時半過ぎというのに、花の色もはっきりしない、朝から日暮れのような庭でした。
前日咲いたグラミス・キャッスル
 でもよく見えないほうが良かったかもしれません。昨日せっかく上を向いて咲いたメアリーローズや、葉のない細い棘の茎に、浮かぶように咲いたグラミスキャッスル(写真)、きっとうな垂れていたでしょう。起きて、しばらくして、頭の回線がだんだん繋がる頃には、予想できた今日の雨を前に、いさぎよく鋏を入れなかった自分への反省が浮かんできます。すると、うな垂れた花を見て、雨に打たれた花もまた美しい、なんて感想は都合よく変わります。

 満開の金木犀は雨と風でだいぶ散りました。枝に残った花も水洗いされました。強烈だった香りは、何度か水をくぐった晒し木綿のような優しさになったはずです。満開になった晴れた日の庭で、鼻から脳味噌まで、オレンジ色に染まるような感覚は、一度味わえば十分です。庭に金木犀を植えてから、毎年、満開になると、すぐに雨が降って、花が散っていました。どうもあの花は長持ちしないね、というのが我が家での決まり文句でした。10月初めには、決まって強い風を伴った雨が降る、というのも学習した事でした。ところが去年は、満開後も晴天が続き、花は、しっかり木に付いたまま、乾燥した空気に好き放題、花粉を撒き散らしました。強剪定をすれば翌年花が少なくなる、とどこかで聞いて無残なほどに切り詰めました。もちろん、あなたの健康を思っての事、と建前。本音は別にあったかも知れませんが。

 金木犀のすぐ横に色々植えています。去年より日陰になるスペースが減っています。あの強選定のおかげ、怪我の功名というのかな。そして、金木犀は、なぜか今年もたくさん花を付けました。で、今年は例年通り雨が降りました。恵みの雨でした。
                        10月10日 淳子