暮らしのつぶやき

16 はたちの冷蔵庫

ある朝の冷蔵庫の中 冷蔵庫の年なんて、普通は覚えていてもらえる物じゃないが、たまたま息子がこの世に出現したのと同じ年に来たので、こいつも二十歳と言うわけ。

まぁ、覚えていたのも、区切りよい年だからこそ。いつも、お誕生日のケーキにつける蝋燭のかずを本人に尋ねていた、実はいいかげんな母親。

「霜取りをする。」というと、皆、驚いて、「いまどき!」と答えてくれる。当たり前だと思っていた事が、いつのまにか時代遅れになっていた。

今朝は、冷蔵庫を開けると、見事にナマモノが何もなかった。昨日買い物に行く予定が、急用で行かれなかった。朝ごはんは、白いご飯があったのだけれど、御餅を焼いてしまった。

買い物から帰っても、ここにお肉とお魚とそんなものがちょっと入るきり。だからいつもだいたい、この様に見通しの良い冷蔵庫。

おまけに冬は、寒い台所。凍らせたくないものを冷蔵庫に入れることもある。だから冬は動いているんだか、休んでいるんだか。

どうやら、このように限りなくモーターに負担をかけない使い方が、長持ちしている秘訣らしい。

息子の成長を支えて、彼が旅立っていったあとも静かに動いている冷蔵庫。息子がいなくなって、頻繁に開け閉めされる事がなくなった冷蔵庫。

01/06/2004

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