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美しい休日 5 バラクラ行きそこね道中記

Monday, January 08, 2001


箱の中で、リンゴは肩先が寒くて震えた。グリグリと体をねじらせて潜ると、籾殻が口に入りそうになった。でも、冷たい空気に触れた顔と、ヌクヌクと暖かい体のコントラストがなんと気持ちの良いことだろう。すると、やにわに誰?箱の蓋を開けるの!

「もう起きなさい。」聞き覚えのある声、無情にも布団を剥いでのご挨拶とは。あんたのせいで、変な夢見た。とも言えず。

「何時〜?」起きたくないのでぐずぐず聞きながら、横目で時計を見れば、短い針は9を過ぎている。テレホーダイの時間は終わった、昼には早い、「朝飯は?」と聞けば、「もう食べたよ。」と。「じゃ、おやすみなさい。」言おうとすると、「昼にチャーハン作ってあげるから、買い物に行こう。」いつもながら、上手い誘いの言葉。でも男に二言はないところが、さすが。お昼は美味しいチャーハンでした。

これで、本当にお正月休みも終わる連休。遊ぶ予定も、出かける予定もなかったので、つい寝正月の仕上げの上塗り、となる筈が。

ところが相棒は、早々起きたり、いそいそ買い物に誘ったり、昼食の準備まで段取よくこなしたのは、こういうわけだった。「温泉に行こう。」あれよあれよ、と言う間に電話して予約している。そういえば、何日か前、7、8だけが空いてるんだってさ、とか言ってたっけ。

夏に行って、気に入った場所だった。バラクラから山越えして1時間半ほどだった。「バラクラ、行ける?」問いに、相棒は黙って頷いた。

今回は思い立って出かけたのが2時、当然、車で、高速を使って。「今日は遅いから、明日、バラクラからへ寄って、帰りは中央道ね。」これにも、反論せず、ウンと言ったような。


遠くに飯綱山 出発は、用意もそこそこで、「まるで夜逃げみたい。」と無邪気に楽しい。

「須坂長野東」インターから振り返ると、飯綱山が霞んで見える、あの麓に我が家・・と思うが手前の山に隠れて見えない。(写真左)

次のインターは「長野」。でも、ここは松代。すり鉢を伏せた形の山は、歴史に名を残す、皆神山。
松代、皆神山

バラクラバラクラと、そればかりしか頭にないので、どこが目的地なのか、つい忘れる。「松本じゃないよ、高崎のほうへ向かうのだから、よく表示を見ていてね。」と相棒は念を押した。


妙義山? ・・・で、どこで降りるんだっけ?「佐久」かな?あっ!と思ったのは、出口の矢印と佐久の字が過ぎてから。「もしかしたら、今の・・」このとき何に二人は気を取られていたか、どうやっても思い出せないのだが。性能の悪い助手席ナビゲーターの事はたしか。

「戻れないから次で引き返しましょうね。」「・・・はーい。」としか運転者も答えられず。しかしこの間、長いんであります。佐久〜碓氷軽井沢・・・・・。やっと着いたインターから見えた奇怪な形の山。「中国の山みたいねぇ」って、これを見るためにドライブした?・・・まさかまさか。


途中のみちくさがなければ、もっと明るかったはずだが、それでも5時近くになっても空が青い。日が長くなっている、牟礼と違って雪もない、なんだか高速に乗って私たちも春に近づいたみたい。
相棒は「天気予報では今夜から、雪だってよ。」私は不安になって「あした、大丈夫かしら・・・。」明日の朝、様子を見て、と言っていたが、もうこのときバラクラにいく気など、サラサラなかったのではないか。
右写真「サンピア佐久」。厚生年金の宿なのでリーズナブル。相棒が殊のほか気に入った宿。高くて上手いは当たり前さ、いかに安く上手く、を探すのが僕の天職、が彼の口癖なので。
サンピア佐久



暖炉 暖炉の火が目にも暖かい。「素敵、うちにも欲しい。」一応言ってみただけ。我が家じゃ、場所もない。

予報どおり夜になって雪が舞ってきた。まだ積もるほどではないが、風に冷たい粒が混じっている。露天風呂は霧の湖のようで自分の足先も見えないが、時々渦巻くような風が吹くと、パッと目の前が開けて眼下に揺れるような家々の灯火が見える。湯気は風に遊ばれて、早回しの雲の流れのよう。画像がなくて、・・・残念。

翌朝テレビのニュースでは都心にも降った雪のことを告げている。15センチほど積もって見える窓の外の景色に、驚きはしないが、考え考えゆっくり走っている車には、いやな予感。やはり相棒は「この雪では山越えは無理だね、バラクラはあきらめましょう。行ってもどうせ見飽きた雪ばかりだし。事故しても困るし。もちろんボクの車は平気だけど、まわりがなぁ・・・あのノロノロ運転見てごらん。」「・・・・・・・」


高速道路 はじめから、そのつもりだったんでしょ!胸を叩いて泣きじゃくる、なんて事はしないが、バラクラ行かないよ、と言われてたら、ここに来たかどうか・・・。でも、たまには、彼の言う事を聞くのもいいだろう、ただただ温泉に入るだけって言うのも良いか。

いわゆる上雪(カミユキ)。高速もチェーン規制、我々は常時、スタッドレスタイヤなので問題はないが、県外ナンバーの車は出立前に慌ただしくチェーンを着けていた。ご苦労様。佐久地方、こんな積雪は滅多にないはず。

左写真は上田あたりの高速道路。なんかすごいところ走っているなぁ。

この日、中央道は更埴〜豊科間、雪のため、通行止め。行き先が松本じゃなくて、ほんとに良かった。

除雪車に先導されて高速道とは、サヨウナラ。
更埴ジャンクション
除雪車
一般道 一般道はこの通りグチャグチャ(左写真)。高速道路はたっぷり塩カルを撒いてあるらしく、道は雨上がり程度、チェーン規制のためか車も少なく、快適なのに。

帰りは、宿から家まで2時間もかからず、高速の料金も1550円。ちなみに往きは余分なドライブのために、時間超過の上、高速料金は2950円。倍も走っていないのになぁ・・・・・。

右写真は長野駅前の如是姫像。観光客気分で撮ってしまった。
如是姫像

ほんとは冬のバラクラの写真を載せたかったんです。・・ああ無念。

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