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 心臓がバクバクいっている、鳥肌も立っているかも。つぶすのは、あきらめて、震える手でデジカメのスイッチを。

 毎日欠かさず庭に出て、それもボンヤリ眺めているわけではない。花も葉も土も虫も、小さな変化を見逃すまいと、観察している。だから、ちょっとの事では、驚かなくなっているはずだった。美しさに感動したり、成長に涙したり、そういう驚きはあっても、うかつにゲッと叫ぶような、もうそんな初歩的な驚きからは、卒業したと思っていたのに。

 鳥の羽根が付いているのかと思ったんです。込み入った枝の棘を気にしながら、取ろうと触った途端、それはピョン!と跳ねました。それからは気が動転して、良いも悪いもない、とりあえずつぶしてしまえと、試みるのですが、向こうがすばしこいのか、こちらがとろいのか、ピョンピョン跳ねられるばかり、しまいには私の足元に襲い掛かる(わけではないのだろうが)。

 居間に戻って、デジカメを持って再び庭に。ヤツは、何事もなかったかのように枝にくっつています。こんなに興奮して写すのは初めて。ダニかしら、ノミかしら、シラミかしら、山には怖いササダニって言うのがいるって。刺されると痛くて痒くて、食いついたまま離れないって、無理に取ろうとすると頭だけ残って、それが化膿するって。
アオバハゴロモの幼虫
 この虫が庭中充満したら、どうしよう。「こちら素敵な庭造り、もちろん無農薬よー」なんて言っていられない。ことごとくコンテナ栽培の野菜を、虫に食べられた妹が、頭にきて、死の灰でも撒きたい気分なんて言っていた。理性を失うな妹よ、と舌の根も乾かぬうちに、こちらの頭も半狂乱。

 でも狂乱は収まりました。インターネットで検索して調べてみると、世の中、驚いたのは私だけではありませんでした。オシリに毛が生えている変な虫、鳥の飾り羽のようなものをつけた虫、白いフワフワの綿毛に包まっている・・・などなど、私が感じたのと同じ感想が並んでいます。「触ると跳ね飛ぶ」、これがキーワードでした。

 スケバハゴロモという虫の幼虫でした。吸汁性害虫ですが、たいして実害はないとの事。大発生すれば別でしょうが。大発生したら、どうしよう・・・相棒に言ったら、「その虫を食べる虫も大発生するでしょ」・・ですって。気にするな、という事ね。
バラの葉と
 遊んでいたら、いつのまにか暗くなっちゃった。咲き始めたアガパンサスが、オールドローズ「Maiden's Blush」の葉陰で庭主の大騒ぎを笑っています。

 それでは、またね。  7月18日 淳子