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 おはようございます。

 早朝、秋を感じる庭です。冷えた風が燃え残りの太陽の匂いを運んできます。うっかり、隠れている虫の声を聞いてしまいます。

 セミの声を探しながら、ひと月前はどんな朝だったかしら、と思います。ものすごく暑い毎日だったのは覚えているけれど、即座に朝の絵が思い浮かびません。この朝ではない、これでもないと思って、ここまできてしまったのかしら。太陽の光の粒が細かく砕けて、重たく冷たい霧の粒がそれに混ざって庭を流れる、今年はとうとうそんな朝に巡り合えなかった、それが少し残念です。

 この季節、毎年必ず園芸店に足が向きます。そろそろ秋物の洋服を探したくなるのと、同じでしょうか。でも、店内、目につくのは、売れ残りのくたびれた苗がほとんどです。同じものが、ご近所の庭に大きく元気に茂っています。・・・あのときやっぱり、買えばよかったな、来年こそは、と毎年思うのですが。

 値下げ札をぶら下げた苗がいくつかあります。伸び放題伸びてはいるが、よく見ると蕾がついているもの、花が終わって切り戻された物。人生の半分は終わっているが、もう一花咲かせます!そんな気概を我が身に重ねて感じて、つい手が伸びます。

 一鉢100円のフウセンカズラを見つけました。茶色くなった風船がいくつか、それと小さな白い花もまだ付いていました。一度育ててみたいと思っていました。こういう一年草は、種から育てるのが本道でしょうが、種を買うと多すぎて、・・・躊躇しているうちに、種まきの季節はサッと終わっていました。種を買ったと思えばいいわ、これ以上風船にならなくても、葉もののツル植物と思えばいいし。風船カズラの種

 家に戻って、さてさてと早速風船を破りました。プレゼントの箱を開けるような気分です。中には丸い粒。お腹を壊したときに飲むあの凄い匂いの丸薬、それくらいの大きさ。その艶消しの黒の漆球に、オフホワイトでふっくらとハートが描いてありました。神様の仕業としか思えません、どの袋にもきちんと3つずつ。
センニチコウ
 他に、やはり値下げになったクレマチス、白くて香りがあります。鉢の底から根が出ています。ギュウギュウで窒息しそう。地植えしようか、大きな鉢に植え替えようか、思案中です。

 今は淡い花色の多い庭、これから色付く葉や、深みを増す花に合わせて、何かないかな?と見つけたのが、センニチコウ。ピンクと赤と白がありましたが、赤を選びました。深まる秋にはこの色が似合うかな、と。帰って、あなたの好きな赤い花にしたのよ、と報告すると、「へぇ、イチゴのできそこないのようなあの花?」まんざらでもない様子。ま、いいか。嘘も方便。センニチコウの花言葉は「変わらぬ愛」だし・・・・。これも種を採っておこうと思います。
            8月10日 淳子