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 こんにちは。

 台所仕事をしながら、時々窓の外を見ます。窓は北西を向いているので、夕方は西日が当たります。

 家の影が真っ直ぐ引かれて、日陰と日向をくっきり分けます。ススキの穂だけがキラキラ揺れて太陽にサヨナラしたり、漏れ落ちた光で、そこだけ忘れた焚き火のように輝いたり、仕事の手がつい止まってしまうほど魅力的な、それは窓越しに見る寸劇のひとこまです。

 その窓から見えるのがサザンカの幹です。葉も花も見えません、幹だけです。職人さんに庭木を植えてもらったのは、もう10年ほど前。この木は、植えてすぐ枯れはじめ、抜いたものの、処分するには大き過ぎて、私が裏に植えた、というより地面に突き刺しておいた、と言った方が正しいでしょう。
見上げると、サザンカ。
 それが何年か前から葉が茂り、花を咲かせるようになりました。「生きているのか枯れているのか」の状態が長かったのですが、見守っていたのではなく、正直に言うと放っておいただけ、でした。

 今年も花が咲きました。でも窓からは見えません。木は、ゆうに背丈が3メートル、その上のほうで葉と花が付いています。光を求めて花は上を向いています。冷たい庭主よりも青空と小鳥を友達にしたのです。サザンカに巻き付いたバラ、足元には落ち葉の道

 私は今年、サザンカのそばにバラを植えました。アルベリック・バルビエというランブラーローズです。細い茎が良く伸びて、日陰に耐えると言う事です。花は白くて八重、一期咲きですが葉が良く茂って、花のない時期も美しいと、本にはありました。

 サザンカの幹に這い上がらせて、それでも余った枝は、近くにトレリスを立てて仕立てようと思います。窓から初夏に、白い花が見える、何年か先にはきっと。
             11月3日 淳子