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 こんにちは。

宿根ネメシアと足元にはセラスチューム 宿根ネメシアが、お日さまに顔を向けています。3時を少しまわったばかりなのに、太陽はもう帰り支度をはじめています。名残惜しそうに、見つめても、その時間を止めることはできません。

 ネメシアがこの庭に来たのは4月の末、やっとチューリップが咲き始める、そんな頃でした。
 小さな薄紫がいつまで持つのかしら・・・、そんなふうに思いつつ、ついに、ここまで来てしまいました。

 足元のセラスチュームが白い花をたくさん咲かせた時も、あとから来たメアリーローズが隣で咲いたり散ったりした時も、ルコウソウに蔓を伸ばされて絡まれ引っ張られても、ネメシアは花を絶やすことなく、しかもでしゃばらず、脇役に徹しきっていました。

 他の花がおおいに咲いて、疲れて一息ついた夏、ネメシアはあまりにも弱音を吐かないので、私は逆に心配になって、少しばかり枝をすいてやった事があります。茎は細くて硬くて、そんな事をしてくれなくてもいいのに、と言いたそうに蕾もたくさん付けていました。でも切った枝からは脇芽が出て、こんもりと好い形になりました。ホラ、と私は思いましたが、野暮ったい形にしたわね、細々と伸びて風になびきたいのよ、と小さな顔で睨まれて私は首をすくめました。

 可愛いけど、ちょっと小生意気で意地っ張りなところのある花です。咲くか咲かないかわからないメアリーローズの蕾には、冷たく知らん顔です。ここのところ彼女のお相手は、気まぐれな夕日です。また明日ね、ほんの短い逢瀬に輝いているネメシアですが、明日も太陽はネメシアを照らすのでしょうか。太陽がそっぽを向いてネメシアが悲しがる前に、いっそ切ってしまいましょうか。
                                            11月22日淳子

あなたの庭にもネメシアはありますか?