こんばんは。 一年ぶりの甘い庭です。ほら、あの生クリームの庭。積もり始めると、風が角を取って、表面を滑らかに仕上げていきました。 3時過ぎ頃から、本格的に降り出した雪は、はじめ、なかなか積もりませんでした。まだ十分に地面が冷えていなかったのです。 この空模様に慌てて、私は、一日伸ばしにしていた配り物を手に、傘を片手に、近所を一回りしました。大きな黒い傘に湿り気のある雪がいっそう重たく、それは難儀でしたが、手袋なしでも、手は、かじかみません。見上げると、どこまでも煙るような雪空でした。山も空もわからなくなった景色でした。暖かく、誰か誘って、散歩に、もう少し歩きたいくらいでした。 雪の降る日は、たいがい静かで暖かいものです。それが突然、家の戸がきしむ風の音に驚かされました。障子を開けると、雪が横殴りになっています。青い街路灯に照らされて、風の姿を雪が示しているのが見えます。ゲーテがうたった「魔王」はこんなだろうか、と思いました。配り物を済ませて良かった、と思いました。 そんな日でも勝手口から外に出なくてはならない、主婦の運命です、野沢菜を食べたいと言われれば。 ピチピチといきなり雪の鞭に頬を打たれましたが、平気です。お風呂上り、ほてりの残る体に、雪混じりの風は露天風呂の味でした。 さて、夜も更けて、風もやみました。熱いお茶でも飲みましょう。写真は台所に飾った刺繍、昔刺した、銅のやかんです。こんなのが欲しいと思って、なかなか買えずにいます。来年、サンタさんに、お願いしようかな。 12月25日 淳子 |