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カナヘビ(カネチョロ)誕生記


庭には、たくさんの生き物がいますが、主(ヌシ)ともいえるのがカナヘビです。虫を食べてくれる有難いガーデナーの友達です。このあたり(北信濃)では、カネチョロと呼ばれています。(なので、ここでも以下カネチョロと呼びます)雪どけ頃から姿を見せ始め、真夏に一番元気になって、動きも機敏になります。出会い頭に取っ組みあいの喧嘩をしているのも夏です。

9月もそろそろ終わり、涼しくなった最近の庭では大きなカネチョロの動きは、やや鈍くなりました。楽しいのは、生まれたてのような10センチに満たないチビさんを良く見かける事です。

カナヘビ(カネチョロ)の卵 9月26日
草取りをしていたら、白い卵を見つけました。
いくつか、かたまってある事もありますし、形もまん丸な場合もありますが、今回は一つ、形は楕円。大きさは1センチほどです。
空気の抜けたゴムまりのような感触。いつもそのまま放っておくのですが、これがカネチョロの卵か確認した事がないので、観察することにしました。
バケツに土を入れて卵を置いて、上から草を掛けて置きました。

9月27日
異常なし。卵の入ったバケツはテラスに置いたまま。

その夜、車軸を通すような雨の音に目が覚めました。強く降ったのは15分くらいでしょうか、小降りになった音を布団の中で聞きながら、気になったのは蕾のバラや、種まきした草の事、バケツの事はすっかり忘れていました。

9月28日朝
子供たちの食事を済ませ、ミルクティーを片手に外を見て、気がつきました。
カネチョロの卵の入ったバケツ!雨が入って、泥水が溜まっています。慌てて、バケツから泥水を流し捨て、卵は?と見ると、生まれてる!!

カナヘビ(カネチョロ)の写真 いつ孵化を始めたのかわかりませんが、泥水の中で、溺れていたに違いありません。ぐったりして、死んだ小魚のようです。体を半分卵に入れたままです。
写真はバケツから出して、ティッシュペーパーにのせたところ。

くさむらに置いたままにしておけばよかった。私のわがままが小さな命を殺してしまったという思いが沸いてきます。悲しくて情けなくて、それでもまだ大丈夫かも知れない、しっかりして!心の中で叫びながら、揺らしたり、突付いたりして見ました。横で相棒が、「こういうこともあるさ、仕方ないよ。」と言ってくれます。「あんまり、いじるのやめなさい。」とも。・・・いじめているように見えた?

カナヘビ(カネチョロ)の写真 やがて左腕横の、わき腹がピクピク動き始めました。「生きてる生きてる!」喜ぶ横で、「ボク、もうご飯食べたいんだけど・・・。」と相棒。
バケツから引き上げて、1時間経っています。
カナヘビ(カネチョロ)の写真 その後30分ほどたちました。時々手のひら(っていうのかな)をモゾモゾ動かしたり、頭も動かすようになりました。
カナヘビ(カネチョロ)の写真 両手(足?)でしっかり支えて、体の向きを変えました。

部屋が暖まるにつれ息を吹き返すような感じに見えます。バケツに入れたままだったら、溺れて死んでしまったかもしれないと思うと、動き始めたカネチョロを見て、私の罪も少しは減るような感じです。でもまだ体の半分は卵の中。

カネチョロの入れたお菓子の箱をパソコンの前において、画面とカネチョロの様子を半々に見ながら、また15分ほど経過。

カナヘビ(カネチョロ)の写真 突然今まで静かにしていたカネチョロが激しく体を揺らし始めました。手元のデジカメで連写しましたが、この間10秒ほどです。
カナヘビ(カネチョロ)の写真
カナヘビ(カネチョロ)の写真
カナヘビ(カネチョロ)の写真 かわいい後ろ足もちゃんとあって、体と同じ長さの尻尾。生まれたら、元気の良いこと!ティッシュに頭を突っ込んで・・・、
カナヘビ(カネチョロ)の写真 脱走を試みています。

部屋の中で迷子にさせたら大変。

カナヘビ(カネチョロ)の写真 ティッシュを取って、お菓子の箱の中で記念撮影。体長6センチ、尻尾は3センチです。ちっともじっとしていません。

あなたのお家は、広い(?)庭。逃がしてあげましょう。

カナヘビ(カネチョロ)の写真 さようならー。ゼラニュームの花びらの散るテラスに放しました。

カネチョロ殺しの汚名を背負って生きるところでした。「卵から頭を出す、そこから見たかったなぁ。」なんて喉元まで出かかった言葉です。そんな事言ったら、カネチョロの脳味噌以下だね、と言われそうです。

自然は脆さと逞しさを併せ持っているのを実感しました。こんど卵を見つけたら、そっとそのままにしましょう。


次は2001年11月(冬の準備 剪定と植え替え)です。

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