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美しい休日2ばらっきぃ道中記

2000年6月


日曜日、鳥の声で目覚める。障子に透けて明るい日差しが感じられる。
「ばらくらへ行こうかな。」計画していたような、いないような言い方で。
「僕が連れてってやる。」相棒はこう言ったといい。「僕も連れてって。」こう聞こえたと私は言う。

「それでは出かけます。あとは頼んだよ。」いつもの事ながら、サイコロの目ほど先の読めない親の行動に、子供たちは半ば呆れ顔で、「あたしたちはもうすぐテスト、どうぞ、どこへでも行ってらっしゃい。」
朝飯もそこそこに、出かけたのは朝8時前。

「高速で行けば、時間はかからないが運転手は疲れるんだ。電車で行こうよ。信州ホリデー切符を使えば乗り放題2340円、片道の運賃で行けるよ。」えっー各駅停車ぁー?げー。「なんなら、いかが?車で、私が運転しましょうか・・・。」相棒、言下に、「頼むから心臓の凍りつくこと言わないでくれ。」

牟礼駅から長野駅まで乗車時間20分。次の松本行きまで長野駅にて待つこと30分。
私「朝のコーヒーを飲んでこなかった、一杯飲みたいよー。」相棒厳しく「ダメダメ、一日楽しめるペットボトルのお茶にしなさい。」私「やだやだ〜。」相棒、百歩譲って「じゃ、缶コーヒーに。」私は、あくまでも「ちゃんと落としたのじゃなきゃ、だめだー。」貧しさをも笑い飛ばすか、ってなおかしな二人。
それにしても渋いよアンタ。「ドケチ!」と毒づかなかったのは、あわれ、浪費家女房を持った夫よ、その積年の苦労を思えばこそ。
結局、もちろん、コーヒーは飲みましたが。カフェラテ。うーーん、苦くて、おいし。


特急しなの 各駅停車の宿命です。特急(名古屋発しなの)が通過するたび、立ち止まってお見送り。ここは田毎の月で千曲川がみえます有名な姨捨(おばすて)。よくもまぁ、こんな急斜面に鉄道が引けた事。駅にはスイッチバックして入ります。無人駅を通過する特急はこの駅を知らずに走り去ります。ホームから下の線路を見下ろして(左写真)、深呼吸すれば視線は眼下に広がる長野盆地へ。(右写真)

しばらくは空も見えない山あいを縫うように。そのうち整然と広がる田んぼ、車のナンバーも松本に変わったら、ここはもう中信。底の小石がきらきら光る川に沿って電車は走ります。「なんて川?」「知らないの?梓川でしょ。」そうだそうだ。その向こう、「随分近くに見えるのね、まだ雪が残っている。白馬かな?」「それしか山の名前知らないの?」じゃ、なんていうのさ。「・・・・・」言わないとこ見ると、・・・知らないな。
長野から松本まで約1時間10分ほど乗車。


松本から今度は中央東線へ入ります。中央西線は木曽、名古屋、京都、大阪へと。中央東線は甲府から高尾、新宿へ。むかし「あずさ2号」なんて曲がありましたが。ご存知であれば、けっこうレトロなお年頃。いまも「あずさ」は首都圏と松本を結んで走ります。

上諏訪駅露天風呂 次に我々が足止めを食ったのは上諏訪駅。この駅の名物はホームにある温泉です。(写真左)駅露天風呂ということで、待ち時間に一風呂どうぞ。3〜4人入れば窮屈なお風呂ですが、正真正銘の温泉、構内アナウンスを聞きながら入るのも、また一興かと存じます。「ええなぁ、ここの通勤客は。毎日仕事帰りには入れば、風呂代浮くで。」・・・・・・。相棒は標準語で話しても、変換されてこう聞こえましたよ。恐るべし難波っ子。

45分かかって茅野駅に到着。そこからバスで20分。華やいだご婦人達で席の埋まったバス。「このバス、こんなに混む日は、めったにないだろうね。」今にも分解しそうなバスに余計なおせっかいの相棒。
「ばらくら」に着くと、空になったバスは次の停留所へ向かいました。やっぱりね。

ばらくら しょうがないよ、混んでいるのは。イベント期間中に来るほうがいけない。いつもなら「信州ホリデー切符」提示で割引になるところ、今回は特別料金です、残念でした。ガックンの表情を何とか隠して相棒は「キミが誘ったんだから、キミが払って」!。誘ったっけ・・・・・。「勝手についてきたんでしょ。」とも言えず、しぶしぶ。

 

ばらくら 着くそうそう、「お腹すいた、なんか食べよう。」は、ないでしょ。
しかし、広いって言うのはいいねぇ。うちの3倍は大きく育った草花が群植されて見事な景観。等身大の彫像も草に埋れていい感じ。「うちにあったらギョッとするよね。」プールとタライほど広さは違うか。いや我が庭は、比べれば洗面器か・・・・・。
ゆっくり見たいのに、「お腹へったへった」とうるさいなぁ。

 

ハーブガーデンの一画でバグパイプ 「バラは、まだほとんど蕾ね、でも見て、これがモスローズよ。蕾の萼(がく)を覆っているこの苔のようなものはね・・・。」人が説明してるのに、何見てんのぉ。バグパイプ吹きの装束がそんなに珍しいか・・・・。

 

実演中 相棒が唯一自分から足を止めたブースはWhichford pottery、ろくろ回しの実演。イギリスから、わざわざこのために来たという職人さんが、これまたわざわざ持って来たイギリスの土で作るポット。ろくろできれいに形作られる横で説明する「ばらくら」のスタッフ。「イギリス本国では霜で割れたら10年間の無料補償があるくらい、品質には絶対の自信をもっています。これを使えば他は使えなくなりますよ!」などと熱っぽく語るので、相棒はそろそろ行こうよと腕を引っ張る。洗脳されやすい女房の気質を読んでの事。
(でも厳しい寒さの冬、悲しい事に・・・)

 

カサブランカ ガゼボ
カサブランカが白樺に囲まれた日陰に強い芳香を放つ。むせ返ると言ってガゼボに逃げ込んだ相棒が「ガーデンは職人たちの世界だね、工業製品の世界じゃないな。」わかりきったことを言うなぁと顔を見たが。そうとばかりは言えない、今のご時世かも。

「疲れたね」って当たり前だよ。誰がこんなところまで各駅停車で行くか。
いまさら、うちの庭が一番だって、ゴマすってもダメよ。

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