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 こんにちは。

 音は二日続きました。雪解けの雫の音は赤ん坊の脈のように速いものでした。

 これが梅雨の雨だれの音であれば、気も滅入るでしょうが、日に日に成長する幼子の胸の音です、いい音です。時々それに混じって、屋根に当たる驚かすような大きな音は、雪が二階の屋根から滑り落ちた時に。

 今日は静かです。テラスから見上げてみると、南の屋根の雪はなくなっています。北側に残る雪もかなり減りました。バラの支柱や小さなガーデンライトの先が雪から顔を出し始め、私には、それが球根の芽のように初々しく見えています。

 ここから車で10分走れば、つまり山を下ると、もう雪は土に負けていて、庭はガーデナーを呼んでいます。まだ庭仕事をする人の姿は見られませんが(安心)、リンゴ畑は剪定の終わった枝が、湿り気のある黒い土に散らかっています。実際、ナギナタのように(そうでもないか)長いのこぎりと、我が家にはないような変わった形の鋏をもった仕事人が、じっと木を見つめ腕組みしています。はっはーん、あのように選定作業と言うのは哲学的風貌に人を変身させるのか、カッコいいな、あたしも早くやってみたい。
満開のヒヤシンス
 言うとまた、相棒がチャチャを入れますから、黙っていますが。剪定のできる来年の春が待ち遠しいわ、って鬼も呆れることでしょう。相棒は相棒で、「アーもう春か、いよいよ愛しい冬ともお別れ、あのうっそうとした夏がやってくると思うといやだねぇ」。嫌味たっぷりな口調でなくても言いたいことはわかっている。植え過ぎ植え過ぎって、言われつづけていますから。

 でもこんなふうに軽口を叩けるのも、冬の呪縛から解かれた証拠。お互い、この冬の寒さと雪には散々泣かされました。もうすぐ3月、気まぐれな天気に一喜一憂も楽しいでしょう。アタシのお誕生日もあるしぃ。
(写真は満開になったヒヤシンス、強い香りが相棒に嫌われ行き場を失っています、やはり外で咲かせるべき花でした。)      2月23日 淳子 

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