こんにちは。 枕もとで、風が起こったように、ごーっという凄い音。あばら家であれば家ごと吹き飛ばされそうな音でした。しかし、それ程のあばら家でないか、それ程の風でなかったか、家はそのまま。その音に起こされて、いつもより1時間近く遅い起床、外は薄明るくなっています。 去年の日記を読んだら、やはりちょうど今ごろ、嵐の風に怯えています。季節の区切りの風でしょうか。 数日前に朝見た空は、冬と秋が仲良く争っているような空でした。右目には、抜ける青空が、左眼には暗い灰色の雲が見えました。どちらも本気ではないようで、いっこうに決着する様子もなく、わたしものんびり観戦する暇もなく、いつか忘れていきました。今朝は、風を味方につけた冬空が勝って、見る見る空は低い雲に覆われていきます。私は風が裏切って、この雲をもう一度吹き飛ばし、秋空が日中には覗く事を期待しています。 昨日の日めくりカレンダー、あのガーデニングの。かわいいキノコの写真でしたね。白雪姫の話に出てくるような、ピンクに白いポツポツがありますね。pretty poisonですって。ほんとに可愛い毒キノコです。らしくていいですね。あれなら、間違う事もないでしょう。 我が家は、もう5日も連続して「キノコ汁」をしています。ふつか続けたところで、3日連続はいかがなものかと、趣向を変えましたら、今日のには、キノコは入っていないの?がっかりした声で言われました。こんなにキノコが好物だったかしら。おいしいと言われ、何日も続けると、なんとかの一つ覚えだねと、馬鹿にするはずの相棒が、今回は様子が変です。 嬉しそうにキノコを頬張る横顔を、訝しく見つめていると、娘がそっと耳打ちします。「お父さんはね・・・・」なるほど、それなら納得です。少し前の新聞で読んだらしいのです。キノコの医学的データについての新しい研究発表、それによると、キノコには体内の脂肪を貯めない働きがあるのだとか。しかも、これほどはっきりしたデータが取れたことはかつてないのだと、まるで自分が研究者のように得々として話して聞かせたそうです。 近くの八百屋さんに、天然キノコが並ぶようになりました。ナメコ、クリタケ、ムラサキシメジ、ホンシメジ。傘の裏には松葉や、山の腐葉土が、ときには、ここをねぐらにしている小さな蛋白質まで、おまけにくっ付いていたり。洗うのに手間ですが、香りが栽培物とは全然違います。 自分で山に入って、採ったら楽しいでしょうが、知識がないので、それは無理です。相棒は若い頃、東北の山でキノコ狩りの経験があるそうですが、採った9割方は毒だったとか。あちらでは、食べられないキノコは「ブス」と言うのだそうです。ブスは食べられない・・・・。そんな殺生な。 目にも舌にも短いが美味しい季節です。それなのでもう少し、天上での陣地戦では、冬が手加減してくれる事を、私は願っています。 (写真は、家でギボウシの陰に見つけた、キノコでなくて、あわてものの春の花) 11月11日 淳子 |