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 バラの足元のビオラバラ、イレーヌ・ワッツの足元で、ひそひそおしゃべりするビオラ達です。

 「見て御覧なさい。アケビは目立とうと、アーチのてっぺんまで登って、ぼんぼりのような花をぶら下げているけれど、高すぎるし、小さすぎるし、あれじゃ写真に撮ってもらえないわよ。」

 「あそこ、房状の花はアセビ。白のつもり?さらし足りないような色よね。それにしても、アセビとアケビ、名前は似ているけれど、姿はまるで違うでしょ。意味の無い名前を付けられたものね。」アケビ、実がぱっくりと口を開く、「開ける実」から名づけられた名前。アセビ(馬酔木)、この葉を馬が食べると酔った状態になるいうところから付けられた名前。ビオラたちはそんなことは知りません。

 そのすぐ近く、真っ白なイカリソウ。花は小指の先ほどの大きさ。「うつむいちゃって、目立たない子ね、葉っぱは、黄緑色できれいだけど。」

 「玉咲きサクラソウが終わったら、よく似た花が隣に咲いたんで、庭主が喜んでいたわよ。普通のサクラソウだと言って、去年もらって植えていたのを、忘れていたらしいね。」おや、それは失礼。

 「それに今年はベロニカが良く咲いたって、これまた嬉しがっていましたね。勿忘草より薄い紫、背丈は10センチほどで、邪魔にはならないけれど、ちょっとぼんやりした色じゃない?」

 ビオラのすぐ後ろには、背の高い白いチューリップ、その後ろには開き始めた艶やかな石楠花(シャクナゲ)がいますが、それは彼女たちの視野には入りません。

 今、気になっているのは、すぐ頭上に茂るチャイナローズのこと。ちゃんと咲いて、よい背景になって欲しいと思っています。小さいけれど、気の強い彼女たち。クラシックな色合いで、この庭で私が一番、と思っている気取りやさんです。

 時々降る燻したような、ニンニク臭いような霧雨?せっかくのビロードの花弁を濡らすのが、気に入らないようです。
                5月3日 淳子