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2000年7月前半日記

7月16日 日曜日
エリンジュームと宿根アマこの花は待つ楽しさを私に教えてくれた。エリンジューム。探し尽くしやっと見つけて、苗を植えたのは春。地面にへばりつくような小さな苗は、暑くなるにつれ期待通りの刺々しい葉を支えに、硬い茎をまっすぐに伸ばし始めた。やがて尖った襟飾りを付けたサボテンの頭みたいなのは、ワレモコウほどの大きさ。この不思議な形だけで十分うっとりするが、冷たい青に色付いてきたので、待つ楽しさは頂点に。

私だけではないのよ、色付くあなたを待っていたのは。

お日様が昇るか昇らないかのうちに、真っ先に目を覚まして、おそろいのブルーで並ぶのを夢見ている宿根アマ。これほどはかない花があるでしょうか、今朝開いた花は昼には萎んで落ちてしまいます。

毎日決まった時間に咲くので、きっと何かを誰かと約束しているんだ、私は勝手にそんなことを思ってしまいます。(写真は宿根アマとエリンジューム)
7月15日 土曜日
コンテナのおうちパソコンがついているので、暖かいのか・・・。霧雨に煙る庭をガラス越しに見ているのが飽き足らず、庭に出ようとして、やはりやめた。雨の音と冷たい空気は窓越しにはわからなかった。

青虫はまだいるかしら、さなぎになるとき、なにか合図をしてくれればいいのになぁ。山椒の木の所でさなぎになってくれないんだもん、いつもどこか遠くへ行っちゃうんだ。みつけられないんだなぁ、あたしには。

窓を細く開けてデジカメを構えるけど、遠すぎてダメ。薄ピンクに色づき始めた柏葉アジサイも、シルバーブルーに色付き始めたエリンジュームも、クリーム色のマツムシソウも、霞んでいる。

「閉めてよ、寒いじゃないか。」ほらやっぱり、言われちゃった。テラスに置いたコンテナ(左写真)、子供っぽいって笑われるかな?小さな可愛いこんな家が欲しいな。思いながら、閉めました。
7月13日 木曜日
太ってる!青虫今年はいないなぁ・・・ずっと寂しく思っていたら、一昨日見つけました、青虫君。あれよあれよと言う間に、山椒の木は茎だけになっていきます。今朝も通り雨の後、涼しくなった庭は青虫君の朝飯の時間、デジカメを構えても旺盛な食欲に突き動かされる前歯(とは言わないか)。ピントが決まらないので、彼の横っ面を人差し指で軽くパンチ。さすがにギクッとして、かたくなりました。これ以上意地悪すると、オレンジ色の触角を伸ばして、なんとも言うに言われぬイヤーな匂いの液体で攻撃してきますから、シャッターをきったら、私は退散。
7月10日 月曜日
鉢植え夕方石畳のあいだにはびこっている雑草を抜いた。もう日が翳っているのに、土は焼きあがって間もないスポンジケーキのようにふんわりと柔らかく温かい。いろんな虫や微生物が喜んで繁殖するはずだ。草たちにも、これはもちろん最高のご馳走なんだろうな。

それで、というわけでもないだろうが、雑草に混じって、なにやら見覚えのあるような無いようなものが芽を出している。コボレダネの仕業だ。

以前エキウムのことは日記にも書いたが、こんどはロベリアが石畳の小さな隙間から顔を出して二つほど花も咲かせていた。「私はここよ。」と言っているようだった。確かにこの青い花がなければ、わからずに抜いてしまうだろう。注意深くまわりの土ごと掘って、これまたいたるところから出ているステッパ、毛並みのよさそうなのを選んで、一緒にコンテナに植えた。他に斑入りのミニホスタ、セキショウも。ともに店先にご自由にお持ちください、とあったもの。これがホントの寄せ植えだ、と私は密かにご満悦。(写真はステッパ、手前にロベリア
7月9日 日曜日
台風の行ってしまった朝、朝日がそっと庭に立てかけた黄金色の竪琴も、妖精の爪弾く蜘蛛の弦も、輝いていたのは束の間、夢のように消えてしまった。鳥の影が庭を横切った。太陽はもうあんなに高い。夏の朝は急ぎ足、まだ朝8時というのに。

だめだな、もっと早起きしないと。風で乱れたガウラや宿根アマをまとめようとラフィアを持って庭に出てみたが、焼け付くような強い日差しに、首をすくめた。部屋に戻る。

かわりに雀たちが石畳に舞い降りて無心に突付いている。誰か昨日の残りご飯を庭にまいたらしい。でもあれは炊き込み御飯、塩分取りすぎにならないのかな。雀に成人病はないのかな。

台風の来る前に石畳のすぐ向こうに伸びていたラムズイヤーやアルケミラモリスの花穂を切ったので、まことに庭がすっきりしました。よかった、よかったと、まるで喉に引っかかっていた小骨が取れたように喜ぶ相棒。花穂は少しずつ伸びていたので、ある時には気にならなかったが、なくなってみると随分鬱陶しかったことに気が付いた。

セダムたち真四角に近い庭の形が案外使いにくいのです。(もちろん広大であればそんな問題はないのでしょうが。)まだまだ欲しい背の高い多年草や頼んでしまったバラ苗の配置に、頭を悩ませます。日当たりのことまで考慮に入れると、そもそも庭の半分しか色とりどりの花は植えられないのです。植物の数を制限してデザインを守るか、ひっくり返した宝石箱のようになるのを覚悟して、庭の中央まで背の高い植物を植え込むか、ありったけの悪知恵を働かせて答えを捻り出します。

部屋から庭を眺めたときに視線が真横にさえぎられないように、庭の中央よりやや左、アーチに向かって伸びる細いハーブガーデンのスペースにバラを植えよう、少し芝を剥がして、セダム類(左写真)を移動させて、アーチに向かってバラの屏風を立てたようにしよう。そこに気に入ったホリホックやジギタリスやデルフィニュームも植えよう。そうだ、それがいいや。ロックガーデンから右、庭の真中は今のように背の低い植物だけにしよう。

自然に見えて雑然としていない庭、そんな理想の庭を夢見て、太陽に隠れて、ぼんやりしたい夏の日。
7月6日 木曜日
ホリホック二日間のガーデニングの旅は、素晴らしいバラ園やワイルドな植物園、高山植物の咲き乱れる標高2200メートルの坪庭など、過密スケジュールを楽しむように周りました。結果、あれもこれもと植え込んだ小さな庭のようにように、私の脳内は混沌としてしまいました。あまりに味わいの異なるものを一度に頂いて、消化に時間がかかっています。「ほらごらん、欲張りさん。」付き合わされて、引っ張りまわされた相棒は呆れています。もう少ししたら、時間のふるいにかけられて、残った思い出が種になり、そこから新しい庭造りのアイディアの花が咲いてくれることを、祈るばかりです。そんなわけで休日3はなかなか日の目を見ないのです・・・すみませーーーーん。


さて、遅ればせながら、我が家の花壇も夏衣にかわって来ました。宿根草が多いのでガラリと雰囲気を変えることはできないのですが、ラムズイヤーやフウロソウは花が終わって散髪すると、それらに隠れていたラベンダーがよく見えるようになりました。満開になっていたラベンダーの花茎を何本か切って風鈴のそばに吊るします。テラスにいると風に乗って気持ちの良い香りと澄んだ音が降ってきます。

今日の写真は2年前に種を蒔いて、今年やっと咲いた八重のホリホックです。淡いベージュがかったクリームにうっすらとピンクの頬紅をさした花びらのひしめくこの花は、咲かせたいオールドローズは私似でしょ?と微笑みます。ホリホックはその大きさと花数の多さから、やや暑苦しい印象を持っていましたが、生垣のヒバとドウダンツツジに挟まれて遠慮がちに花を覗かせる姿はむしろ涼やかです。この手前には二番花の杏色のルピナス、足元にはフクシア(写真は1日付けの日記に)が咲き、銀葉の朝霧草や黄緑の風知草、糸ススキも揺れています。ルリタマアザミや白いリアトリス、ピンクのクレオメが咲いたら、ロマンチック過剰かなぁ・・・・。
7月1日 土曜日
上手なコロラトゥーラだこと。小鳥は練習に余念がない。でもずっと同じフレーズ。魔法にかけられたように、聞いていたら眠くなった。ほとんど風はないが、それでも時々網戸を抜けて涼しい空気が流れてくる。こんなとき、庭にハンモックがあったらな。風邪引かないように、太陽の光をおなかにかけて、ウトウトしたいな。噴水の音を子守唄にして。(左写真は朝5時の朝日、右写真はフクシアと風知草) フクシアと風知草

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