2000年9月後半日記
9月21日 木曜日 |
暗い朝だった。濃い霧が立ち込めて、何気なく着てしまった半そででは寒くて、生ごみを埋めに外に出ただけでくしゃみが出た。 霧が晴れると、バラの葉や蕾に水滴がたくさん付いて宝石のようにキラキラ光っている。(左写真) ワレモコウやアルケミラモリスも水滴をきれいに飾りつける達人だが、今日は主役をバラに明け渡した。バラ(メアリーローズ)はここ一週間ほどで急に縦にも横にも大きくなった。蕾を数えたら7つもある。 これが一気に咲いたら、どんなにか素敵な事だろう。まわりの植物も息を呑んで見つめているのだ。バラは雫の宝石をきらめかせて、尚の事注目を集める。 「いつかのギボウシのようにはならないのよ」と、この自信たっぷりなバラの様子に励まされる思い。 |
9月20日 水曜日 |
あの月を見たのが、家の近くに来てからで良かった。コーラスの練習が終わって夜10時過ぎ、坂を登りきるとフロントガラスの向こうに突然見えた、大きな赤い欠けた月。東の低い位置、顔を半分髪で隠して恨めしそうに私を見るのは誰?ハンドルを切るたび、はっきりと見えないが雲に見え隠れしているのが、よけい不気味に思えた。 月を見て怖いと思った事など無いが、あの月は恐ろしかった。夜遊びしてきたんじゃないのに、慌てて家に入った。窓からみると、雲に隠れたか、見えない。 今朝は雲ひとつ無い空。清潔な朝の風と光。紅茶から引き上げた薄切りレモンの月が青空に浮かんでいる。もう怖くない。庭には小さな小さなスターラベンダー、苔のようにびっしり緑で土を隠して、細い茎の先に真っ白な花が点々と空一面の星のよう。少し湿ったところが気に入って、植物の足元に広がっている。 こんなところにも咲いている。(左写真)煉瓦を敷くので移植したのに、わずかに残った根が生きていたのだ。狭いところにちゃんと花を咲かせている。 庭は小さな宇宙だけど怖い月は出ないから安心。 |
9月19日 火曜日 |
煉瓦道の脇にいつのまにか出ていたムスカリの芽をうっかり踏みそうになった。それにこんなところにムスカリが咲いてたっけ・・・終わった春のことははるか遠く、来春の事などは更に遠い。 春の準備に、種まきに、忙しいはずの秋に、ただただ待ちぼうけをしていた私。真夏の約束が反故にされた秋、嘆く私に、足元の小さな草がもう後ろを見るのはおやめなさいと言っているのか。 丸く真っ白に膨らんだ蕾に、明日がある明日があると、微かな望みをつないできたが、閉じたまま萎れ始めた花はあきらめる事を教えたかったのか。とうとうその香りさえわからぬまま、庭にはどこからか燻されたような風が流れてくる。誰かどこかで刈り取った草でも燃やしているのか。 私も、燃やしてしまおう。寂しい事や悲しい事は。 |
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