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2000年9月後半日記

9月29日 金曜日
ピンクに染まったピラミッドアジサイ朝は息子の為に紅茶をいれたが、それを飲み干すとコーヒーが欲しくなった。豆を挽いてコーヒーメーカーをセットしながら、これでもう大丈夫だ、と思う。具合が悪くなるとコーヒーもお酒も欲しくない。健康な体には少しの毒気はむしろよい刺激だが、体はよく知っている。

障子を開けてガラス戸に額をつけるとヒンヤリつめたくて気持ちがいい。ペアガラスでも外の冷気がこうも伝わるようになった。朝、障子を開けるのが寒くてできないのも、もうすぐだ。

目が自然に温かみのある色を探している。遅く種を蒔いたヒャクニチソウがピンクやクリーム色の花を咲かせている。花びらがボテっとしてあまり好きではない花だったが、何かのおまけでもらった種を適当に散らした。その色も花びらの厚さも今は暖かく好ましい。シロバナホウオウシャジン

ピラミッドアジサイも黄緑からピンクに染まっている。(左写真)特に西日の当たったところはピンクが一段とはっきりしている。そういえば紅葉も西日の当たるところほど綺麗に色付く。

今年植えたホウオウシャジンが咲いて揺れている。(右写真)白は珍しいと言われて買ったけれど、ちょっと寂しそうだ。紫にすればよかったかな。シュウメイギクも白が咲き始めた。ピンク持っていないでしょ?と、友達にもらったシュウメイギクはまだ咲かない。もう秋に咲く白は卒業だな。どの季節にはどの色、だんだんわかってきたが、見事に茂ったシュウメイギクは抜くわけにもいかず。

でもこれは花丸のはず、濃い紫が綺麗な西洋トリカブト。蕾が見えてきている。でも、葉にも花にも根にも毒。「触ってはいけません」と札を付けなくちゃ。
9月26日 火曜日
斑入りカクトラノオ私が深みのある臙脂色や紫を身にまといたくなったように、庭も少しずつ衣替えをしている。夏のあいだから咲きつづけているものは、何度も染め直しをして、落ち着いた風を見せようとする。

雨上がりでもないのに、緑もみずみずしく、特にシルバーの葉が美しい。ラムズイヤーやパープルセージ、ラベンダー、ルーにサントリナ、春の新芽とはどこか違う。大人の恋のような落ち着いた静かな美しさを湛えて、しかも香りはすがすがしい。東の隅にチェリーセージ、西にウメモドキの実がくっきりと赤く艶かしい。真夏ならこの色は暑苦しく思っただろうが、冷たい空気には嬉しい彩り。
アカンサスモリス
チェリーセージの横には紫の花が咲き始めた。(左写真)カクトラノオだったのか・・・。斑入り○○、斑入りだけが脳裡に残って肝心の植物名をすっかり忘れていた。カクトラノオは白が好き。夏やっと手にいれてテラス前に植えた。一方斑入りは花はありきたりの紫だが葉が命、これでいい。どちらも来年は倍以上に増えるぞ、花の少ない時期に咲いてくれるありがたい植物。

コンテナ植えにしてすっかり枯れたアカンサスモリス、もしやと思い根を花壇に埋めたら、元気な葉が出てきた。(右写真)50センチに満たない細長い花壇に雄大な姿をどうおさめるのか、お手並み拝見といこう。

植物は思いがけない場所にひょっこり芽を出す。唯一のハンギング、これにはルコウソウが旺盛に絡んで、もともと植えてあるゼラニュームやロベリアは遠慮がち、そこに大きなピンク色の花が負けないぞと言わんばかりに上を向いている。見ればペチュニアなんだが、植えてもいないし、どこから来たの。うちにペチュニアはないのになぁ。
9月21日 木曜日
メアリーローズの蕾暗い朝だった。濃い霧が立ち込めて、何気なく着てしまった半そででは寒くて、生ごみを埋めに外に出ただけでくしゃみが出た。

霧が晴れると、バラの葉や蕾に水滴がたくさん付いて宝石のようにキラキラ光っている。(左写真)

ワレモコウやアルケミラモリスも水滴をきれいに飾りつける達人だが、今日は主役をバラに明け渡した。バラ(メアリーローズ)はここ一週間ほどで急に縦にも横にも大きくなった。蕾を数えたら7つもある。

これが一気に咲いたら、どんなにか素敵な事だろう。まわりの植物も息を呑んで見つめているのだ。バラは雫の宝石をきらめかせて、尚の事注目を集める。

「いつかのギボウシのようにはならないのよ」と、この自信たっぷりなバラの様子に励まされる思い。
9月20日 水曜日
スターラベンダーあの月を見たのが、家の近くに来てからで良かった。コーラスの練習が終わって夜10時過ぎ、坂を登りきるとフロントガラスの向こうに突然見えた、大きな赤い欠けた月。東の低い位置、顔を半分髪で隠して恨めしそうに私を見るのは誰?ハンドルを切るたび、はっきりと見えないが雲に見え隠れしているのが、よけい不気味に思えた。

月を見て怖いと思った事など無いが、あの月は恐ろしかった。夜遊びしてきたんじゃないのに、慌てて家に入った。窓からみると、雲に隠れたか、見えない。

今朝は雲ひとつ無い空。清潔な朝の風と光。紅茶から引き上げた薄切りレモンの月が青空に浮かんでいる。もう怖くない。庭には小さな小さなスターラベンダー、苔のようにびっしり緑で土を隠して、細い茎の先に真っ白な花が点々と空一面の星のよう。少し湿ったところが気に入って、植物の足元に広がっている。

こんなところにも咲いている。(左写真)煉瓦を敷くので移植したのに、わずかに残った根が生きていたのだ。狭いところにちゃんと花を咲かせている。

庭は小さな宇宙だけど怖い月は出ないから安心。
9月19日 火曜日
ムスカリの葉煉瓦道の脇にいつのまにか出ていたムスカリの芽をうっかり踏みそうになった。それにこんなところにムスカリが咲いてたっけ・・・終わった春のことははるか遠く、来春の事などは更に遠い。

春の準備に、種まきに、忙しいはずの秋に、ただただ待ちぼうけをしていた私。真夏の約束が反故にされた秋、嘆く私に、足元の小さな草がもう後ろを見るのはおやめなさいと言っているのか。

丸く真っ白に膨らんだ蕾に、明日がある明日があると、微かな望みをつないできたが、閉じたまま萎れ始めた花はあきらめる事を教えたかったのか。とうとうその香りさえわからぬまま、庭にはどこからか燻されたような風が流れてくる。誰かどこかで刈り取った草でも燃やしているのか。

私も、燃やしてしまおう。寂しい事や悲しい事は。

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