2000年4月日記
4月27日 木曜日 |
美しい虹がかかりました。雷の音とともにやってきた夕立は、伸び始めた花の茎や花びらを遠慮がちにたたく優しい雨でした。 喜んでいるのはカエルたち。姿は見えませんがごく近くで鳴いているのは確か。池に握りこぶしほどの2匹のカエルを見つけたときも、あまりいい気持ちはしませんでしたが、翌朝なんと6匹ものカエルが澱んだ水の中にいるのを見たときは卒倒しそうでした。だいいち水もつい先日替えたばかりなのに、なんという汚れよう。去年夏中かかっても、こんなには濁りませんでした。これ以上カエル達の好きにはさせておけないと、池にはスダレの蓋を。 去年も鳴いていたのかしら、あまり記憶がありません。どうも「我々の安息の地を開放せよ、バリケードを撤去せよ」そんなふうに聞こえます。うなされそうだぁ・・・・。 |
4月20日 木曜日 |
メダカメダカ・・・呪文を唱えるように繰り返し、やっとたどり着いたのに、ホームセンターの水槽は空っぽ。色とりどりの熱帯魚が媚を売っても、ダメダメ。乳母日傘のあなたたちでは、あの過酷な環境には耐えられないでしょ?あー、いとしのメダカよ、いずこ・・・。 小さな庭に命の蘇る春。美しい5月はすぐそこ。一人の役者も欠けることなく、初舞台を飾らせたい。 冬、庭巡回していた渡り鳥「ツグミ」はもう旅立ったか。バラバラに冬を過ごした彼らは何を合図に集まるのか、旅立ちを予感して、一羽また一羽、大きな集団に膨れ上がる。その怪鳥が夕暮れの河原に舞うのを数日前に見かけた。 かわりにやってきたのは、燕。冬鳥との見事なまでのバトンタッチ。こうなれば雪の残る庭に見たキジの事は、もうお伽話の一頁。 トカゲが剥き出しの地面を横切っていく、寒いせいか動きにもう一つ切れがない。猫に見つからないでね。ほらほら、私に簡単に捕まえられるようでは・・・、ふうん、ちょっとしっぽをつまんで振ったくらいじゃ切れないんだな。・・・かわいそうな事するなって?愛情溢れるショック療法ですよ。もちろんすぐ、植え込みに放してあげました。 枯葉によく似た蝶々が歩いている。大きな羽が歩くには邪魔になる、開いたり閉じたり、それでも宙は舞えないと見える。水の匂いがわかるのか、ヨタヨタしながらも池へ。器用に煉瓦の縁につかまって池の水を飲んでいる。側に言っても逃げもしない、よほどお疲れのご様子。 少し掘ればミミズも出てくる、蟻もいる。でも善玉だけでは芝居にはなりませんぞ。困ったな、アブラムシやヨトウムシはお呼びじゃないんですがね。 |
4月19日 水曜日 |
しまった!今日も忘れた!気がついたときには、車はもう半分も山を登っている。くるりと振り返られない所が悲しい所。どこか、Uターンできる場所は・・・・見つけているうちに、もう家はそこ、まあいいか明日にしよう。 ねぇねぇ、汚いんじゃない?掃除しようよ。しびれを切らしたのは、やはり相棒。じゃ、手伝ってね。言い出したからには、ノーとは言わせません。冬の残骸が池の水になってドロドロ。バケツリレーで汲み出して、底のジャリもきれいに洗った。以外だったのは、ミニ睡蓮。(左写真、アーチの影が映って)冬を越させようと思ったわけではない、池から出し忘れているうちに雪と氷に閉ざされただけ。赤みを帯びた新芽が3つ、茎がまだ伸びていないので、鉢にくっ付くように見えている。こんなふうに、気にもとめられなかった植物が、穏やかに私の心を和ませてくれる。透き通った水に睡蓮の小さな葉が揺れる。メダカを入れてあげなくちゃ、そう思って数日。 何度も植物を見に足を運んでいるのに、忘れるとは。仕方ないなぁ、まず植物有りき、か。運転席から手を伸ばせば届きそうに見えるリンゴの木を見て苦笑い。桜がもうすぐ咲こうと言うこの時期に、そろそろ新芽を見せ始めるリンゴ。寒さの残る早春に剪定された小枝がきちんと幹の側に並べてある。朝、一筋二筋と立ち昇る煙は、これを燃やす煙だろうか。行楽に押し寄せる人ごみを尻目に、これから忙しくなる農家の仕事。のどかに見える朝の田園風景も、傍から見るほど楽ではないはず。 リンゴは花より先に葉が出てきます。知っているから、これが黄緑と見えるのかしら。春の女神が裸の木に、点々とバロック真珠を飾ってあげたのね。とてもきれい。 |
4月17日 月曜日 |
太陽が西に傾き始め、雲が光を遮った。何を見ても不吉な予感が拭えない、情けない一日。 昨夜、冴えた月を見た。霜が降りないといいけれど・・・呟いた通り、今朝は白い冷たい庭に。重そうに花をたくさん付けたクリスマスローズの花茎が、哀れに倒れかかっていた。冬に元気のイメージから想像できないうなだれ方に、思わず目をそらした。 寒さに季節が後戻り、山には雪も降った。朝、車の窓から見える山並みは白のオーガンジー、頂上あたりにサテンの白いリボンを縁取った清楚な姿は春の装いとしても悪くないが、襟元が寂しい。道端に見つけたタンポポを飾ってあげたくなった。 日が高くなるにつけ天気は回復し、なんとか気温も10度ほどに上がった。今、盛んに咲いているモクレン、お気楽に空に向かってあくびするその白い大きな花を見ても、心にわだかまる黒雲を払えないでいる。 地植えして元気でいたバラが急に萎れ始めて一週間。ネット友達に教えてもらい手は尽くしたものの、黒く炭のようになった根を見たときは、目の前が真っ暗に。なんでもっと早く手当てしなかったのかと、後悔に胃が痛くなる。 そのバラはヘリテージ。オールドローズをカタログや雑誌でしか見た事のなかった頃、偶然友人の家の花瓶に見つけた花。小ぶりで、ベージュがかった微妙な色合いのピンクに見とれて、触れると花びらはハラハラ散り落ちた。驚いて、「ゴメンナサイ、散らしちゃったわ」すると友人は「もう開ききっていたから、いいのよ、でもその姿もきれいでしょ?」名前を尋ねるとヘリテージと教えてくれた。もっと大きく華やかな姿を想像していたので、ビックリして何度も念を押したが、山でたくさんオールドローズを育てている友達が持ってきたのだから間違いないという。ご丁寧に電話までして、間違いなくヘリテージですって、と。 そのとき、私もこの花を庭に咲かせたいと思った。丈夫で初心者向きというカタログの説明も嬉しかったのに。かわいそうに、花も咲かせないで、枯らしてしまうとは。 |
4月13日 木曜日 |
毎年秋になると欲しくなるチューリップ。春先花物が少ない時期に貴重な花ですが、咲き終わった後のことを思うと、ほんの少し、ためらいます。あのモサモサした葉・・・。抜いて捨てるには忍びない・・・。かといって狭い庭に枯れるまで放っておくのは、いくらなんでも・・・・と。結局、掘り上げて裏で養生させましょう、アヤシイ約束を自分にして購入・・・・。そして植えたのは去年作ったリビング前の花壇です。ここもバラのスペースをぐるりと囲むように冬の前からせっせと草花を植え込みました。プリムラ、ネモフィラ、ニゲラ、シレネ、宿根アマ、チオノドクサ、ヒヤシンス、カルーナ、サフラン、ワレモコウ、クロッカス、パンジー、ルリマツリ、タイム、ブラキカム・・・・過密かも・・・。 夏涼しく冬雪に埋もれる当地では、植えっぱなしでも毎年咲いてくれるチューリップもあります。薄いピンク、真珠のような光沢のチューリップは今年で4回目。赤や黄色のチューリップは、もう10年も前子供達が幼い頃植えたものです。さすがにそれは、ぽつりぽつり。今なら絶対買わない色だな、ちょっと苦笑い。でもあの頃には似合っていました。庭師さんの手が入らない、もちろん私の手も入らない草だらけの庭に、子供の笑い声に混じってはじける原色が、賑やかに若々しい生活そのままでした。 さて、去年あらたに植えたのは、シックな黒とアプリコット色。それと葉があまり邪魔にならない原種いくつか。およそ子供の描くチューリップのイメージとは遠いものです。実はうちの相棒はチューリップが嫌い・・・。変な花だ、形が不自然だよ、毎年そう言っては私に毒付いていました。ところが、今年一番に咲いたメリーアン(左写真)。葉の内側の黒い筋が珍しく、身の丈15センチほど、花から下はすぐカカト。花色は外がピンクで開くと内側はアイボリー、毎日少しずつピンクが濃くなっているように思います。これを相棒はいたく気に入って、「僕このチューリップ好き。これが自然の形だよ!」きっとこのずんぐりした体型に共感を覚えるんでしょうねぇ・・・・・。 |
4月10日 月曜日 |
こらえにこらえた涙がついに溢れ出すように、日の入りを待たずに雨が降り出しました。土曜日曜とまったく庭に出られなかった忙しさに、気になっていたのは天気。それなのに、時間ができる月曜の午後から雨の予報とは、あまりといえばあまり。 しかし、庭仕事にはこのくらいの天気のほうが安全。4月5月の紫外線の強さは真夏以上といいます。このときばかりは汚れた都会の空が羨ましい・・・・。2日続いた晴天も見たところはうす曇り。周りの山並みも遠くにかすんで、空に溶けていました。雲か霞か埃か、何なのかしら・・・。盆地全体が煙の中、ぐるりと見渡す空も同じ色で、それなのにピリピリ肌を刺す日差しの強さ。前世はモグラだったのかな、太陽こわーい。 前置きが長くなりましたが、やっと午後庭仕事に取り掛かれました。変遷7でおしらせしたコンテナ置き場の煉瓦敷き。やっと手に入れた斑入りのプルモナリア、岩桜、ピンクの班の入る珍しいセリなど植えて、なかなか玄人好み・・・と一人悦に入っております。 |
4月7日 金曜日 |
今朝はうっすらと霜が降りました。それでも玄関の朝の温度は7度。これが最低気温です。少し前まで最高気温だったのに・・・。庭に出ても、息は白くなり、昇ったばかりの太陽が空気を細かい粒に煙らせていますが、優しい温もりを感じます。遠くでさえずっているのはヒバリかしら、森の匂いがしたように思う朝です。 気になっているバラの2鉢。居間からすぐに見える犬走りにおいて、くれぐれも水遣りを忘れないように、どうもうっかりが多い私なので・・・。昨日珍しく、相棒が、ホラ見てごらん、きっと大丈夫だよ、と。1ミリにも満たない新芽のような突起を見つけてくれました。半分以上茶色くなっている枝ですが、下のほうは緑だよ・・・・とも。棘がイヤ、虫がイヤ・・さんざん文句をいってくれますが、根は優しい人ネ(ごますりすり) 気になっているもう一つは、デルフィニューム。去年種まきでは好成績を上げたのに、どこへいってしまったの〜?たしか2月末には生きていました。雪の下になりながら・・・・。それが3月の末の雪、猛烈な霜柱に根が上がってしまった直後、追い討ちをかけた雪、あれがいけなかったのでしょうか・・・・。寒冷地は春に蒔きましょう、種袋の説明を無視して秋に蒔いて定植したネモフィラが今元気でいるのに・・・・。デルフィがやられるとは・・・・。こうなったら宿根しているはずのデルフィニュームに是非とも出てきて貰わねば! 左写真は手作りアーチ。クレマチスを植えてあります、バラは小さいものでないと・・・・だめね。ホームセンターで見つけた建具用のプラスチックの棒(1本80円)3本に茶色のシュロ縄を絡ませてあります。アハハハ。 |
4月2日 日曜日 |
3月末に最後の雪が降って融けて、それが冬のエピローグになった。 相棒の一言で命拾いした池。いえ、それがなくても壊さなかっただろう。雪が消え、ようやく庭全体の姿が再び目の前に現れると、こちらの眼も魔法が解け長い夢から覚めたようだった。見えない庭には大胆な変革を企てたが、机上の計画のいかに脆いことか、そこここにのぞく小さな青い芽がいけないいけない、と私を諭した。 ここ数日何度も庭に出て、ひたすら見つめて見つめた。そのうちに自然にスコップが動き出す。そうなるまでただただじっくり見つめるだけ。必要なもの、そうでないものがふるいわけられ、しっくりと心と庭に落ち着く案が生まれるまで、そう時間はかからなかった。 先月剥がし残した芝をかたづけて、池の周りは充分な植栽の広さになった。ここはバーベキュー用です、花壇にはさせません。一年前毅然と言い切った相棒も、執拗且つあくどい地上げ行為には女房の恐ろしき本性を見る思い、触らぬ神に祟りなし、と最近では見てみぬふり。申し訳ない・・・と思わぬわけではないが。それと気になるのは、テレビをつけるたび目にする有珠山噴火の様子。まだ冬の支度が必要な雪混じりの空に恐ろしい自然の力、はやく収まって平穏な暮らしと春の陽射しが来るように、祈るしかない。 そんな色々な思いを抱えながらも、週末には時間を盗むようにしての庭仕事。今日は池の周り、レンガ道の修復と拡張。がたついたり、のめりこんだりした煉瓦を並べなおし、2本のレンガ道をつなぐ道をあらたに作る。庭園灯の一つをシェードガーデン側に、フォーカルポイントの壷を池の側に移す。庭の真中に突っかかりが無くなって、ちょっと広くなった感じ。モミジは残念ながらすっかり枯れていたので処分。ポキポキ乾いた音で簡単に折れるのが悲しかったけど。梅も抜いて移植した。これとホワイトガーデンは冬の計画通り。時々絶望的な視線を背中に感じた。息子をケーキ二つで買収して悪行に荷担させて・・・・、だって一人じゃ無理だもん。 モミの木の下枝を払うと庭はいっそうすっきり、ホワイトガーデンの脇役達を植え込んだり(いまだ主役不在)、多年草を移植したり、そうこうしているうちに、出掛けるよ〜の声。まあ、このへんで終わりにしておく方がいいか、筋肉痛になっても困るし。 |
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