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2000年7月後半日記

7月28日 金曜日
西洋メハジキ暑さの峠を越えたのかと思う朝のひんやりした空気、昼の木陰の風。では暑さの頂点はどこだったかと考えて、やはりあの日曜だ。暑いときには熱い物を食べるのが一番、わざわざ昼をはるか遠くのラーメン屋さんまで家族雁首そろえて出かけたのはいいが、食べ終わり乗った車は炎天下。エアコンが効かないボロ車!と悪態を付く後部座席に、これでもかと照りつける日差し。ラーメンで体も頭も熱くなっているが、車を蹴飛ばして壊さなかったのは、一番暑がってる奴がラーメン食べに一番行きたがっていたから。運転手の機嫌を損ねるのはあとあとまずい、そのくらいの知恵はまだ回った。

その日、太陽が庭から離れたあと水撒きして、これぞ日本の夏、テラスで涼んであれこれ指示する相棒に、ごく自然に実はわざとホースの水のおこぼれをかけてやった。喜ばすつもりが、怒らせたかも。

週が開けてからは真夏の太陽も、ちからつきたと思える、でもまだ夏休み中くらいは燃えていて欲しいけど。

テラスのすぐ前に茂った花式部、2年前に植えたその低木は冬にはすっかり葉を落とした。その後三分の一ほどに刈り込んだが去年より元気に綺麗な半円に茂り、ここ数日ダンギクに良く似た花もつけ始めた。葉はセージのようで香りもツンとハーブ系、そのせいか虫も付かない。私はとても気に入っているが、部屋から庭を眺めると、その木が邪魔して池が見えない。それを相棒は酷く憎んで、切ってくれ切ってくれとうるさい。

押し問答の末、結局半分の大きさにする事で和解。断腸の思いで鋏を動かす私に、相棒は、「時々離れて見た方がいいよ。」なんとかに刃物、当初の思いとは別に、切り落とす快感に酔いしれて、いつのまにかとんでもないシェイプアップした姿にしちゃった事、数知れず。「ここまでしてとは、言わなかったでしょー。」泣きべそをかかせたら、また面倒だ。でも不思議、こう苦労が多いのになぜかちっとも痩せない相棒。

芝に被さっていたのを切って風通しも良くなり、部屋からは池も芝のエッジも見えるようになった、今回の剪定はひとまず成功。ついでに形の乱れたサントリナを箱型に整えなおし、煉瓦道に出ていたカレックスは生まれつき茶パツのグラス、これも少しカット。ニゲラも種を採って、抜いた。これでかなりすっきりした。もう少しやりたいんだけど、ピアノの練習もしなくちゃ、腕が震える前に終わりにした。昨日はそんな事もできた涼しい午前中。(写真はモウズイカ様から頂いた西洋メハジキ、どことなく秋らしい風情)
7月25日 火曜日
エリンジュームと雨にうな垂れる宿根アマ日曜日の夕方、とうとう庭に水撒き、しかし犠牲者が出てからではしゃれにならない。

キングサリが枯れた。冷涼地なので、OK!・・・んな事言ってたの誰?初夏に花が咲いたあと、葉が黄色くなってパラパラ落ちたときには、また新しいのが出るでしょと高をくくっていた。待っても待っても新芽は硬く閉ざされたまま、これは様子がおかしいぞ、そう思ったときにはすでに枯れていたというわけ。アーチを置いたとき、「枯れ木を絡ませて何してんのよー」そう言う相棒をキッと睨みつけたが、思い出せばぞっとするような、しかし滑稽な光景か。

自然淘汰してるのよ、口では強がっても、内心自信を無くすというか、気落ちすると言うか・・・・。雨の後、急に冷え込んで、ぐっと秋に引っ張られたような錯覚が弱気を生んだのだろう。

たっぷりと与えたつもりだったホースからの水遣りを馬鹿にするように、今日は1日ダラダラ降ったりやんだりだった。みるみる雑草が伸びて、苛立つが、この前雑草だらけの植物園で心底ほっとしたっけ。昔の荒れた庭を懐かしむ相棒の気持ちが、少しわかったような気がする。彼にとって、ここは小さな自然だったのだ。しかし残念ながら開発されてしまった、もはや手付かずの自然ではない、庭なのだ。眺めるところではなく、作るところ。申し訳ないが、傲慢なことに、たった一人の。

キングサリを抜いたそのあと、元肥をたっぷり漉き込んで土をじゅうぶんねかせて、そしたらツルバラを植えるんだ。はじめからやり直しましょ。気を取り直して。(写真は雨に打たれてうな垂れた宿根アマと茎まで青く色付いたエリンジューム)
7月24日 月曜日
朝の天気からは、雷雨注意報が出たとは信じられなかったが、午後からだんだん雲が覆ってきた空模様。風がきもち、涼しくなったようにも思える夕方6時。

今朝は7時前に家を出た。いつもよりほんの数分早いだけで車の量がだいぶ違う。道にまばらな、しかし流れが速いのはやはり通勤車、行楽ではない。でもこの空の色、山の緑、豪勢なセミの声、さあさあお待ちかねの夏休み!休みも夏も短いのよ、はやくはやくと急かされたわけではないが、ついアクセルを深く踏みすぎる。

空にちぎった雲がちょうど太陽を隠すので、隙間から光が束になって何本か遠い山に落ちている。いつもなら空の際の青あざ、平面的に見えるのが、今日はそれぞれ手前と奥とで濃さが違う。実は随分奥行きのある山並みなのだ。そんな幾つもの砦に守られて、青空の下に広がる盆地は平和そう。

一時間も経つと太陽は雲から逃げ出して、ジリジリと車を照りつける。我慢の限界、エアコンのスイッチを入れる。窓から見えるのは、満開のノウゼンカズラの後を追って咲き始めたムクゲ。庭つくりをはじめてから、今まで見えなかったものが沢山見えるようになったが、運転中目に入る道端の花や庭から顔を出す樹木もそう。もうすぐあそこにあの花が咲く筈、などと季節毎に、運転の楽しみが増えた。?の花

さて我が家はどうかな?住宅地の込み入った路地ではそうそう目にもつかないだろうが、あのアーチにバラが絡んだら、期待して毎年通る人が現れるかしら。

もっぱら今は私が庭のあちこちを見て周り(というほど広くはないが)もうすぐ咲くぞとか、残念今年はだめでした、とか一人楽しんでいる。今日も夕立を待ちながら庭の隅に見慣れない花を見つけた。種も苗も植えた覚えがない。誰がどこから持ってきたものだろう。(右写真)
7月21日 金曜日
カマキリ宿根アマの花がらを摘んでいるときに見つけた小さなカマキリは、数日後いなくなってしまいました。がっかりしていると、そこからちょっと離れたところのコレオプシス・ロゼア「アメリカンドリーム」に、いました。黄緑色の細い茎が、カマキリの体そっくりです。あなたがここに隠れていること、知っているのはきっと私だけ。(写真左)

はじめにいた場所からここまで、人間の足では、ほんの数歩ですが、子供のカマキリにとっては長く危険な旅路だったはず。どうしてあのカマキリだとわかるの?なんて聞かないで欲しい、秘密と謎に満ちた庭です。ギボウシとシュウメイギクの葉っぱ

この花を気に入っているのはカマキリだけではないです。草丈30センチに満たないその先やや色あせたようなピンクの花は小さなコスモスのようです。次から次へよく咲きますし、何よりその明るい黄緑色の葉茎がすくっと伸びて、地際まで枯れこまないので、とてもよいグランドカバーになります。少々増えすぎますが、細い根をまっすぐに伸ばしているのをスウーッと抜くのは結構快感。

霜が降りたようなラムズイヤーやパープルセージ、赤ん坊の手のひらのアルケミラモリスやゲラニューム、艶消しのラベンダー、質感と色の異なる緑の中で朝日に一番映えて輝くのは、このアメリカンドリームです。スポットを浴びてカマキリは朝食、自分の頭より大きい虫をかぶりつくのに夢中です。

BGMはホーケキョケキョと必ずダブルで歌ううぐいすと、ジィーと永遠にチューニングを続けるセミと、近寄ったり遠ざかったりする蜂の羽音。今日はカナカナはお休みのようです。つまり、暑くなるのかな?ギボウシ(写真右)も早々日傘をさす、朝6時。
7月19日 水曜日
モナルダ追い越し禁止車線を見て、我が家の庭に咲いた百合を思い出すなんて・・・。瀬戸物のような光沢、そのオレンジ色、じゅうぶん美しいが。

掃き溜めに鶴、そう言いたいに違いない。「やっといい色の花が咲いたねぇ。」なんでまた、庭の、ど真ん中に出てくるのよぉ、蕾をいくつか残したまま、黙って切っちゃおうかなぁ・・・そう思った矢先に相棒の一言。

静かでミステリアス、柔らかく頼りげない、その庭に突如現れた輝けるオレンジ。魔法を解く12時の鐘だってこう遠慮なしには鳴り続けないだろうに・・・。悲しいことに庭の曖昧な花たちは急に埃っぽく色あせてしまった。

昔々、カタログの写真に惑わされて買ったに違いない。お見合い写真だけで決めるなんて、あたしもウブだった。

その百合はやっと終わって、茎と葉を残すだけ。球根を太らすために枯れるまでこのままにしておく。ほんとは優しいの。でも球根は堀りあげて、来年は秘密の場所に植えてあげよう。

今朝はピンクのモナルダ(左写真)が咲いた。庭の隅、お隣との境の土留めぎりぎりに。派手な色も場所さえわきまえれば安泰なのだ。「どう?この色、好きでしょ。」言われる前につっつくと、「この庭にしちゃ、下品な色だねぇ。」うっそつけー、心にもないことを。

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