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1999年9月日記


9月30日

名前不明の薔薇 去年の今頃のことを思い出す。パソコンの前で悪戦苦闘、ダンナと息子の、時に罵声混じりの励ましのなかトチトチとキーボードを打ってたっけ。すぐ人に聞くな自分で考えなさい、というダンナに、何がわからないのかも、わからない初心者にそれが教える態度か、と抗議すると馬鹿に教える暇はないという返事。情けないのと悔しいのとでモニターは涙で曇る日々。今でもそれをネタにからかわれると憎らしいけど、いいHPになったね、と誉められて嬉しいもうすぐ1周年です。
PCに関しては従順素直な女房もひとたび庭に出るとたちまち独裁者。狂気に目を血走らせて領土拡大がついにあそこまでいっちゃった事は変遷でお伝えした通り。その上我が家の労働者諸君の「薔薇だけは決して許さな〜い」のシュプレヒコールなんて聞いてねんだよ、おカミは。その上「それらの購入資金を我等の血税からまかなうとはけしから〜ん」なんてのも馬耳東風。で、独裁者は手始めに、グラミス・キャッスル、チャールズ・レニ・マッキントッシュ、ヘリテージの3種をご寵愛なさるおつもり。傾城狂いだけはお止めください、との声に、ばかやろー。
友達からもらった鉢植えの薔薇
庭に下ろして1ヶ月ふたつめの花が
咲きました。花の大きさは開ききって3cm。
名前がわかりません。

9月28日

ケイトウ・キャンドル 左の写真はケイトウ・キャンドル。ケイトウという名前が、鶏のトサカみたいでジンマシンが出そうになったあの真っ赤な花を連想するから、いやなんだけれど、仲間なら仕方ないか。去年の秋、私が密かに私淑する、さるお方のHPのトップを飾っていた、この花に一目ぼれ。やっと種を見つけて蒔いてはみたものの数本しか芽が出ず、なのに友達に分けてあげて(人がいいなぁ)結局育ったのは一本・・・・。本当なら1メートル以上に伸びるはずが50cmどまり。でもいい色。
今朝は待っていても太陽は顔を出さない。一枚の写真を撮るのにぐずぐずしてると、煙のように霧が流れてきた。アーアーなんていってるうちに庭は濃霧注意報。雲の中っていうのはこんなものかと感心して部屋に入ると、金木犀の香りと霧に満ちていた庭は振り向くともう晴れてる。山の天気は変わりやすいよ、ホント。

9月24日
どうぞ夜までこの天気がもちますように、と心でつぶやく。こんなに朝晴れるのは何日ぶりかしらね、という問いに、さあね、と気のない返事のダンナ。11月に予定している旅行の下調べに夢中なのはわかるけど、今日のこの美しい空を味わわずにいるのは、神への冒涜だぞって(・・またオーバーなんだよ)。昨夜もずいぶん遅くまで起きてたようだけど、これじゃ、あの夜空も見ちゃいないな。月とその明るさに負けなかった星いくつか、漆黒の闇というのではない、濃い紫に果てしない宇宙を感じるような空に、薄物の上等なショールの雲。遠い山並みは影絵のよう。そして今日は十五夜。
こぼれだねで思いがけず忘れていた花に会いました。去年庭の一等地で思い切りその艶やかな色を放っていたピンクのサルビヤは、一年草のため晩秋には抜かれて、裏のコンポストに次なる命を育む堆肥と化したのですが。何で種を採っておかなかったの?と言いたくて出てきたのでしょうか。露草や雑草に混じって恨めしそうに私を見ないで。

こぼれだねのサルビヤ ウメモドキ
君もこれが運命だよ、と露草が言えば
まだ望みは捨てていないわ、と答えるサルビヤ
食物豊富なこの季節には見向きもされない
ウメモドキ

9月21日
朝から雨と雷。閃光とほぼ同時の雷鳴、気持ちが沈んでいれば地獄の門を叩く音に、晴れやかな心には祝福の礼砲に。さて今朝はどちらでしょう。
去年は庭のもみじも山のもみじも色あせたような冴えない紅葉でした。今年は夏充分暑かったし雨も降ったし、期待しているのだけれど、どうかな?毎年一番に色を変えていたシャラは、今年は紅葉に先を越されています。2、3日前からウメモドキの実の赤さが目立ってきました。金木犀もまだ小さな花芽をびっしりつけ始めました。視線が上向く秋です。

紅葉 レースラベンダー
日焼けのあとが消えるころ、
思い出に身を焦がす紅葉(9月11日)
初夏の花じゃないっけ?レースラベンダー

9月9日
やっとプルーンを取り終えました。下の写真(7日の日記)の籠に10杯。2本の木になっていたとはいえ、よくぞ、という感じです。昨日はレッスンに来た生徒と一緒にプルーン取りをしました。お稽古が済んで、暇なら手伝ってと言うと、大喜びで目の色を変えてとりまくりました。自分で取ると一段とおいしく感じるようで、お土産にと袋いっぱい重たそうに持って帰って行く後姿が可愛いというかおかしいと言うか・・・。
木は実を取ったあと、三分の一ほど切り詰めると、しなっていた枝は空に背伸びするようにすっきりと表情を変えました。そして玄関脇には西の空がぽっかり現れました。きつい西日の心配が要らなくなった今はこれでいいでしょう。
弱くなったのは西日だけではありません、朝5時過ぎ、まだ外は薄暗いです。朝ご飯やらお弁当の準備が一段落する6時前に庭に朝日があたり始めます。低い位置からの優しい光は葉先にたまった露を宝石に変え、主のいなくなった蜘蛛の巣を絹糸に、気まぐれな機織をはじめます。小さな庭が艶やかな光の衣装をまとうこの時、鳥は喜びの歌を歌い、虫は幸せの呪文を羽音に混ぜるのです。

花びらを散らすガウラ ドウダンツツジとクレマチス
清純さが売りのガウラですが、レンガ道に
花びらを散らして、こんな寝乱れた姿は・・・
ドウダンツツジに絡まった原種のクレマチス
花より種がイカシテル

9月7日

籠いっぱいのプルーン
9月の気温は6月とほぼ同じ、違うのは日の長さ。それと、向かっている方向が違う。賑やかなカーテンコールが終われば、幕はひかれなければならない。
今日のようにうす曇りだといつまでも朝が暗い。窓を開けていると足元に冷たい空気が流れてくる。風がないのでゆっくりとしかし確実に体温が奪われていく。今のうちにいっぱい食べて熊のように冬中眠っていられたらな・・・雪かきもしないで春の夢を見て眠れたらなぁ・・・。
秋の花にバトンタッチしつつある庭ですが、ガウラの花は一つ一つが一回り大きくなったように見えます。その後ろにいた芙蓉のかわりに小菊につぼみが。カワラナデシコもまた花を咲かせています。細い茎は後ろの糸すすきと同化して花は宙に浮いています。イソトマももうじきたくさん咲きそう。アメリカンドリームもブルーサルビアも、役者はいっぱいいますね。追々ご紹介していきましょう。
プルーン
ほらこのとおりたくさん取れました。
といってもまだこれで四分の一ほどです。
白く粉の吹いたように見えるのは
ぶどうなどと同じ、おいしい証拠です。
農薬ではありませんので木からもいで、
ちょっと埃を払ったらいただきましょう。
甘く、渋く、すっぱく、まろやかで、
かぐわしくて、にがい、ほんの少しずつ
それらの味がブレンドされた山の味わい。
カワラナデシコ イワヒバ・ツワブキ・オダマキの葉とウサギ
カワラナデシコ
これが最後の花かな、
取り忘れていた花柄から種ができていました。
小さな黒い芥子粒。
暗がりで耳をすまして何を聞いてるの?
こっそり私に教えてね。

9月2日
午後4時。レッスンに来る生徒がちょっと途切れた間に自分の練習をと、ピアノに向かう。今日はなんだかよく音が冴えているな。?。腕がそんなに急に上がるわけない・・そうだエアコンがついていない。田舎とはいえ住宅街、まさか窓を開けてガンガン弾くわけにはいかず、夏も冬も二重サッシを閉めきっての練習。つい先日まではクーラーをつけていても汗だくになったのに、今はストーブも冷房もなしで閉め切った部屋で練習できる、1年でほんのわずかな幸せな期間、というわけか。
その窓に下がったすだれ越し、柔らかな午後の陽射しの中、様々な緑の小さな葉が時折震えるようにゆれている。美しいトレモロが聞こえてくるような気がして、目も耳もくぎづけになる。秋を暗い冬の前ぶれと思わずに、その美しさだけを味わおうと思う。さて、明日あたり、すだれは外しましょう。

白のゲンノショウコ 花式部
白のゲンノショウコ。種が飛び散ると庭は
ゲンノショウコだらけに・・・
花式部。ダンギクに似ているがこちらは低木。
寒さに強く花の期間も長い。

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