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2000年8月後半

8月28日 月曜日
花式部と麦藁帽子今年の桃はおいしい。暑さと日照りのせいか、香り高く濃厚な甘さ。お盆過ぎから次々頂く農家の桃は外れなしのどれも素晴らしいでき。多分、出荷を済ませたはね出しなのだろうが、最後まで木で熟した桃は、流通経路で柔らかくなった都会の店先のとは、わけが違う。

お盆前の堅い桃もいいけれど。難波ッコ相棒は長野に来て始めて硬い桃を食べたらしい。カリカリと音を立てて、皮もむかずに丸かじりする長野の友人を見て、目を丸くしたと言う。

たしかに歯ごたえのある、ほんのり甘い桃も悪くないが、たいがいは思ったほど甘くなくて、桃の形の大根だとがっかりさせられる。と言うのも桃に限らず、実は果物にそうそう熱狂的でない私の嗜好。切って皮をむいてフォークに刺してあれば頂くが、丸のまま置かれても自分から切る事はしなかった。

そんなめんどくさがりやも、家庭を持って子供を育てるようになると、ちゃんとりんごでも桃でも皮をむいて、食べさせてあげたもの。我ながらほのぼのと幸せな気分になったが、剥かれた果物は不幸せな事にだいぶ小さくなっていたし、その手つきの悪さにギャラリーはいつもはらはらさせられたろう。刃物は小さい頃から使うべきだ、手を切って痛い思いをすればその恐ろしさもよくわかろうと言うもの。不器用な母親をもったおかげで、我が家の子供たちは、私より数段上手くナイフを使いこなす。

それで今日も、台所の流しに顔を突っ込んで桃をかじる相棒のそばへ行って、三口ほど味見と称していただく。手も汚れないしこの程度が美味しくいただける、よろしい量。

我が家のプルーンも深い色に色付いてきた。ワレモコウもアスターも秋色。ピラミッドアジサイは溶けかけたアイスクリームのようにほんのりクリーム色を帯びている。日に日に弱まる太陽の光は凝縮されて、秋色と味わいに変わる。それはいいけど、二の腕を見てため息が出る。色が濃くなっても、美味しくなるわけでもなし・・・。(写真は秋色の花式部と日に焼けた麦藁帽子)
8月26日 土曜日
ホテイアオイとメアリーローズの蕾夏バテしたくないので、早めに寝た。それで早く目が覚めた。目覚ましのなるのを待たずに起きると、外はまだ薄暗い。車庫の屋根に雀が並んで庭を見下ろしている。そのうち安全を確かめたら、昨日撒いたパン屑めがけて突進するだろう。昼間は残暑厳しく、雀の食欲も落ちるのかパン屑は翌日堅くなって庭にそのままの事もしばしば。

お湯を沸かして、コーヒー豆を挽いて、居間の障子を開けるといっせいに雀は飛び立った。もう朝食でしたか・・・。庭に出ると、散らかったパンくずのかけらを蟻が引いている。私が居たのでは雀は食べに来られないらしいが、蟻は平気だ。そればかりか、はだしの足に這い上がろうという図々しさ。雀は、「ジャマジャマ〜」屋根の上でこちらを見て、うるさく鳴く。

さすが早起きルコウソウ、今朝は3つ咲いている。アスターの蕾、酢白ラッキョウの蕾、ギボウシの蕾、ホテイソウの蕾、バラの蕾。一番に開くのはホテイソウ、アスターとバラはどちらが先になるかな?酢白ラッキョウはもう1週間も蕾のまま、咲く気があるのかしら、あのギボウシはいい香りがするという、どんな香りかしら・・・。

考え込んでいると、視野に雀が入った。待ちきれず、危険覚悟で降りてきたか。しょうがないなぁ、しばらくここで固まっているか。
8月21日 月曜日
ピラミッドアジサイ(ミナヅキ)朝夕が涼しくなって、よけい昼の蒸暑さがこたえる。フェーン現象で北陸は36度に、そんなラジオのニュースを聞くだけで目まいがしそうだ。ただし、「午後には不安定な空模様になり夕立があるでしょう」これは見事に外れる。10日間は夕立にお目にかかっていないが、「どうやら牟礼だけ外して降っている様よ。」長野市に通勤している友人の話。

4時半になると庭は翳った。それ、待ってました!さっそく水撒き。「ホースの先にはこの細かい目の蓮口をつけて、外れないようにここを持って、終わったら、ちゃんと後始末もするんだよ。」あっらー、アタシに指導するってわけか。たしかに、ここのところ水撒きは相棒の仕事だった。

「バラには頭からかけないようにするのよ。」教えるつもりで振り向けば、メキシカンブッシュセージが折れている。あ、踏んだなぁ!睨みつけたら、「今ホースで引っ掛けたじゃない、ポキッていったでしょ。」・・・・・。そういう指導方針か。わかりましたよ。

なるべく植物が倒れないように、気を遣って撒いていたが、興が乗ってくればだんだん大胆になってくる。胸いっぱい吸い込む懐かしい土の匂い、肌に心地よい風、虹が出た、カマキリが慌ててる、カエルが飛び跳ねる、こりゃ面白い。

カマキリは、しばらく姿が見えなかったが水撒きのおかげで再会。堂々たる5センチほどの体躯に成長していた。しかしあの緑鮮やかな色は衰えず、若々しく精悍なハンターの顔つき。水撒きの手を止めてそっと差し出すと、懐かしそうに(?)手のひらに這い上がる。うーん、うい奴。

「いつまでやってんの。水浸しになるよ。」声にハッと我に返れば、カマキリの王子様との白昼夢は、ホースの先の虹と共に消え。(写真・みずみずしいのがお好き、ピラミッドアジサイ)
8月19日 土曜日
ずっと満開だったペチュニアの花付きが悪くなった。もっとこまめに液肥をやるべきだったか、切り戻すべきか、しばし鉢を前に考え込んだ。鉢が小さいのかも、あっさり簡単な結果を導き出して鉢から抜くと、根がびっしりまわっていた。

そのままテラス前に植えて1週間、チラチラ咲いてはいるが、大地の恵みを存分に受けているとは思えない咲きっぷり。園芸雑誌をめくっていたら、鉢から抜いたら痩せた土を取って根をほぐして植えるという、どこかのプロガーデナー。あっ、スポッと植えちゃったもんなぁ、もう一度抜いてみようかとちょっと引っ張ってみたが、もう根を張ってる様子。下手にいじらない方がよさそうだと手を引いた。花は気のせいかホッとした風にみえた。

この時期、夏の疲れを見せる花と、涼しさに再び元気を取り戻す花と、衣替えの最中の庭。真昼には疲れた花が目に付き、朝夕には生き返る花が目に付く。
カンガルーポケット
こんなときは園芸店の店先も、これがはたして売り物?みたいなものが多い。でも何か掘り出し物はないか、暑い中せっせと通った。何しろこちらはお盆休みだった、暇。

『この台のもの全て100円』やったぞ!リンドウは蕾がいっぱい、これから咲くじゃないの。カンガルーポケットって始めて聞く名前だけど、多年草で冬は屋内に入れればいいですって!これにもピンクの小さな蕾がたくさんあるじゃない!涼しげな色にフニャフニャした蔓の感じも気に入った。

プラスチックの簾風な物からそっと蔓を外して、もっとお洒落な物にしてあげましょう。そう思って作ったのに、一目見て相棒は大笑い。「へったくそー」・・・そういう直接的な表現はやめてもらいたい。あれ〜?それに蕾と思ったけど、このピンクの粒粒は花びらの取れたあと?ガーーーン。ま、いいか。(写真は大笑いされたカンガルーポケット)

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